【導入】
ハーフマラソンとフルマラソン。どちらも長距離走ではありますが、必要とされるフィジカル面やメンタル面、さらには戦略面に大きな違いがあります。今回は、「ハーフマラソンでは速く走れるのに、フルマラソンになると結果を出しづらい」というランナーに向けて、必要となる能力の違いと、フルマラソンでパフォーマンスを引き出すためのポイントを整理していきましょう。
【ハーフマラソンに強い人の特徴】
1. VO2MAX(最大酸素摂取量)の強化ができている
VO2MAXが高いほど、より高い運動負荷を持続できます。ハーフマラソンは比較的短時間で速いペースを刻むため、高い心拍数でも維持し続けられる能力が重要。インターバル走や閾値走などをしっかり積んでいる人は、VO2MAXが向上している傾向があります。
2. LT値(乳酸性作業閾値)の向上
LT値とは、乳酸が急激に溜まり始める境界点の強度のこと。ハーフマラソンでは高いペースを維持し続けるため、乳酸をどれだけ処理しながら走れるかが重要です。ハーフが速い人は、乳酸が蓄積しても走り続けられる筋持久力や有酸素能力が備わっています。
3. 苦しいペースでも押していける(苦しいペースへの慣れ)
ハーフマラソンは1時間半~2時間ほどの間、比較的速いペースで走る競技です。心拍数や呼吸が「きつい」と感じる領域を耐え抜く力が求められます。インターバルやレペティショントレーニングの効果もあり、ハーフが速い人は高い負荷に慣れている場合が多いです。
【フルマラソンで結果を出す人の特徴】
1. フル特有の筋持久力がある
フルマラソンでは、心肺機能だけでなく42.195kmという長距離を走り切る筋持久力が大切。ハーフと比べて圧倒的に長い距離を走るため、脚へのダメージが蓄積しやすくなります。後半に脚が売り切れてしまう原因は、糖質エネルギーの枯渇だけでなく、筋肉の耐久性不足も大きいです。
2. 苦しいペース「だけ」でなく、楽なペースを長時間維持できる
フルマラソンでは、スタートからゴールまで「ずっときついペース」では持ちません。むしろ、序盤からある程度余裕を保ち、中盤以降も粘り強く走れることが重要です。ハーフが速い人は高負荷のペースに慣れている一方で、「イージーなペースを長くキープする」練習が不足しがち。Eペース(イージーペース)やロングジョグで長時間走る能力を鍛える必要があります。
3. 長い競技時間でも集中力を維持できるメンタル力
ハーフマラソンは1~2時間程度なので集中力を持続させやすいですが、フルマラソンは3時間以上走る場合がほとんど。後半になると身体だけでなく、精神的な疲労や雑念などの影響が大きくなります。終始ペースやフォームをチェックし、自分の状態を冷静に分析できる集中力が、フルマラソンでは大きなアドバンテージとなります。
4. フルマラソンに対する苦手意識が少ない
フルマラソンへ苦手意識を持っているランナーは、レース前から過度に慎重になりすぎたり、不安からオーバーペースになってしまったりしがち。逆にフルを得意とするランナーは、長い距離を楽しみつつ、冷静にレースプランを組み立てて走れます。過去にフルマラソンを完走した成功体験なども、苦手意識を払拭する大きな要因となります。
【フルマラソンで結果を出すための対策】
1. ロング走・30km走で筋持久力を強化する
「長距離を走り切る脚」を作るには、やはりロング走が有効です。20km前後を速いペースでこなせるランナーでも、30km以上の距離に挑戦する機会が不足している場合が多いです。ペースはそこまで速くなくてもOKなので、脚に長時間の負荷をかけることで筋耐久力を高めましょう。
2. EペースやLSDで“楽なペース”を長く走る練習を積む
きついペースに頼りがちですが、フルでは“苦しくないペース”の持続力が不可欠。90分以上のイージーペース走やLSD(Long Slow Distance)は、心肺への負荷を抑えながら長く走り切る余裕度を高めてくれます。終盤での粘りを生むには、こうした練習が欠かせません。
3. 長時間走中の集中力維持を意識する
ロング走やペース走を行う際に、フォームや呼吸、ペース管理、給水タイミングなどを定期的にチェックするクセをつけると、本番でも集中力を失いにくくなります。また、「補給食をいつ摂るか」「きつくなるポイントはどこか」など、事前にイメージトレーニングをしておくと、実際のレースで慌てずに対処できるでしょう。
4. フルマラソンへのネガティブイメージを払拭する
「フルはしんどい」「最後まで脚がもたない」と思い込んでいると、スタート時点から余計に緊張や不安を抱えることになります。段階的に距離を伸ばすロング走や、ペース表・給水計画を綿密に立てることで、「やるべきことをやっているから大丈夫」という自信が生まれます。小さな成功体験の積み重ねが、フルマラソンへのポジティブなイメージにつながるのです。
【まとめ】
ハーフマラソンが速い方は、VO2MAXやLT値をはじめとする“スピード持久力”が高いケースが多いです。しかし、フルマラソンではさらに以下のような能力が必要になります。
- 脚の筋持久力(長距離を走り切れる筋肉のスタミナ)
- 余裕度を保つペースで走る持久力(苦しくないペースを延々と維持する力)
- 長時間にわたる集中力や精神的な強さ
- フルマラソンへのポジティブなイメージ(苦手意識の払拭)
もし「ハーフは得意だけど、フルはどうも苦手…」という方は、上記のポイントを意識したトレーニング計画を立ててみてください。ロング走やEペースのジョグなど、フルマラソンに合わせた“長時間走る”能力やメンタル面の強化を図ることで、ハーフのスピードを最大限に活かせるようになるはずです。
【エンディング】
いかがでしたか? ハーフとフルでは同じ長距離走でも求められる能力が意外と異なります。ハーフマラソンの速さは大きな武器ですが、それをフルマラソンへつなげるためには、距離特性に合わせた筋持久力やメンタル強化が欠かせません。ぜひ次のフルマラソンに向けて、練習メニューや意識改革をしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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