本日はランニング初心者から中級者の方、そしてこれからフルマラソンに挑戦してみたい方に向けて、「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」についてお話しします。LSDとは、いわゆる「ゆっくり長く走る」トレーニングのことですが、本当に効果があるのか? マラソンのタイム短縮にはどう関わってくるのか? そういった疑問を解決していきたいと思います。
目次
【LSDとは?】
まず最初に、LSDという言葉を聞いたことがあるでしょうか。LSDとは「LongSlowDistance」の略称で、日本語では「ロング・スロー・ディスタンス」と呼ばれたりします。読んで字のごとく、長い距離をゆっくり走るトレーニングを指します。通常、会話ができるほどのペース、心拍数でいうと少し息が上がるかな、ぐらいの強度で、長い時間をかけて走るのが特徴ですね。
LSDの利点としては、速く走るわけではないので身体的・精神的な負担が比較的少なく、また長時間走ること自体に慣れることができる点です。初心者ランナーにとっては、「そもそも長時間動き続ける」ことが最初のハードルになることが多いですよね。そういった方にとって、まずは距離や時間を踏む練習として最適です。
【LSDの定義と目的】
LSDの定義は「一度に長時間をかけて、低~中強度で走り続ける」ことですが、具体的な距離やペースは個人のレベルによって異なります。例えば、フルマラソンを走る方であれば、2~3時間、ゆっくり走り続けるといったイメージでしょうか。ペースはキロ7分~8分でも構いません。心拍数や呼吸が落ち着いていて、会話が成立するくらいの負荷を目安にします。
このようにLSDを行う目的としては、まず「基礎的な持久力を高める」ことが挙げられます。長時間走ることで身体の代謝能力が改善され、毛細血管の発達やミトコンドリア機能の向上などが期待できます。筋力や筋持久力にも効果があり、特に脚まわりの筋肉が長時間の負荷に慣れるため、初心者はケガのリスクを下げながら長い距離にチャレンジできるメリットがあります。
【本当に効果はあるのか?】
では、「LSDは本当に効果的なのか?」という疑問について考えてみましょう。結論から言えば、効果はあります。ただし、その効果をどこに求めるかがポイントです。
1.基礎的持久力の向上
ゆっくり長く走ることで、酸素を利用する「有酸素能力」が高まります。走り始めたばかりの方や、まだ心肺機能・筋力の発達が十分でない方にとって、まずは長時間動き続ける耐性をつけることが必要です。LSDは、まさにその土台づくりに向いています。
2.ケガのリスクが低い
ペースがゆっくりで心拍数も比較的安定しているため、インターバルトレーニングやスピード練習と比べると、筋肉や関節への負担が少なく、フォームを崩しにくいという利点があります。トレーニング後の疲労も、短時間で高強度の練習を行う場合に比べれば、コントロールしやすいです。
3.ただし、特異的なスピード練習にはならない
LSDはあくまで基礎的なトレーニングです。マラソン本番を目標ペースで走り切るには、ある程度速いペースで長く走る練習、いわゆるペース走やビルドアップ走など、より“レースに近い”強度の練習が必要となります。したがって「LSDだけやっていればフルマラソンが速くなる」というわけではないので注意しましょう。
【LSDを行うタイミング】
では、どの時期にLSDを取り入れると効果的なのでしょうか。一般的には、レースから遠い時期、例えば4~6月あたりのオフシーズンや、シーズンに向けて基礎体力を作っておきたいタイミングで行うのが望ましいとされています。レースが近づいてくると、よりスピードやペース設定に重きを置く必要がありますから、LSDはどちらかというと“準備段階”のトレーニングというイメージです。
また、長い距離を走り始める際の“最初の一歩”としてLSDを活用する方法もあります。たとえば、これまで10km程度しか走ったことがない方が、いきなり30km走やペース走をするのはリスクが高いですよね。まずはLSDで15kmや20kmをゆっくり走る練習を積み重ね、脚や心肺機能を慣らしていく。このステップが非常に大切です。
【LSDだけでは不十分な理由】
しかし、フルマラソンを走る上で、「目標ペースで完走したい」「サブ4を目指したい」「サブ3.5を狙いたい」など、具体的な目標がある場合、やはりLSDだけでは不十分だと言えます。なぜなら、実際のレースでは、一定以上のペースを維持して走り切る“スピード持久力”が要求されるからです。
ゆっくり長く走るトレーニングは、持久力の底上げには効果的ですが、特異的にレースペースを鍛えることはできません。特に9月以降、本格的にマラソンシーズンへ向けた練習を始める時期には、レースペースを意識したロング走や、負荷の高いトレーニング(例:ペース走、ビルドアップ走、インターバル走など)を導入していく必要があります。
【初心者や初マラソン挑戦者の場合】
一方で、まだフルマラソンを経験していなかったり、ランニング歴が浅い方にとっては、LSDは非常に有効です。初心者の多くは長時間走る経験が少ないため、体力や持久力をつける目的で、LSDから始めるのは理にかなっています。時間走などを取り入れ、「まずは60分間動き続ける」「慣れてきたら90分、120分と増やしていく」という形で少しずつ距離と時間を伸ばしていきましょう。
ここで大切なのは、負荷の上げ方が急激にならないようにすること。いきなり長距離を走りすぎると、膝や足首、股関節などを痛めてしまうリスクが高まります。LSDの優しいペースから始めて、少しずつ走る時間や距離を伸ばすことで、身体の順応を図りながら無理なくトレーニングを継続できるのです。
【レース直前期との住み分け】
LSDは、ゆったりとしたペースで基礎体力を底上げするためのトレーニングと割り切りましょう。レース直前期(特に9月以降)は、目標ペースでの距離走を徐々に増やしたり、インターバル練習などでスピードを上げたりしていく段階に移行します。もちろん、疲労回復の一環として、あえてLSDペースで走る日を設けるのは良いですが、それがメインになるのは理想的ではありません。
つまり、「LSDだけやっていればタイムが縮む」というのは誤解です。あくまで走力の土台作りとして、使う時期や目的をはっきりさせることが重要です。特に目標タイムを持っている方は、LSDの後に必ずレースペース走やスピード練習を組み合わせ、特異的なトレーニングへと移行しましょう。
【まとめ】
それでは、今日の講義内容を整理しておきましょう。
- LSD(ロング・スロー・ディスタンス)とは?
- ゆっくり長い時間を走るトレーニング。負荷は低~中強度。
- LSDの効果
- 有酸素能力の向上、筋力・筋持久力の向上。
- ケガのリスクが比較的低い。
- 初心者や初マラソン挑戦者に特に有効。
- LSDを行うタイミング
- レースから遠い時期(4~6月など)に基礎力を底上げしたいとき。
- 長い距離に慣れていく最初のステップとして。
- LSDだけでは不十分な理由
- マラソンの目標ペースを維持する力(スピード持久力)は鍛えにくい。
- 9月以降の本格的なレース準備期には、より特異的なトレーニングが必要。
- 初心者へのアドバイス
- まずはLSDで長時間動き続ける身体作りが大切。
- 急激に距離を伸ばさず、段階的に慣れさせる。
- 結論
- LSDは基礎トレーニングとして非常に有効。
- ただし、レース本番で狙うペースや目標タイムがある場合は、LSDだけでは走力を最大限高めるのは難しい。特異的なペース走やインターバルトレーニングと組み合わせるのがベスト。
【エンディング】
いかがだったでしょうか。LSDは、ゆっくりペースで長く走ることで、初心者から上級者まで幅広い層にとってメリットのあるトレーニングです。一方で、レース本番の目標ペースを意識した練習にはならないため、時期や目的をしっかり考えたうえで取り入れる必要があります。特にフルマラソンで記録を狙うのであれば、LSDで土台を築きつつ、スピード練習やペース走を組み合わせるのが重要です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。今後も、ランニングに役立つ情報やトレーニングメニューについて発信していきますので、楽しみに待っていてくださいね!
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